◎ステップリレーを使用する方法
注意)ステップリレーは現在PIC16F877、PIC18F452、PIC16F88 でサポートしています。
この方法は基本的には、工程別に一つのステップリレー接点と直列に、その工程に対応する1ブロックの回路を組み、そのブロックの動作が終わると、次のステップリレーがオンし、それと直列の次の工程の回路が動作していくというのものです。
ステップリレーの原則は以下のようなものです。
- チャンネル部分とステップ部分に分かれ各々0~99までのBCD値(普通の数字)で表示され、3,4桁目がチャンネル部分になり、1,2桁目がステップ数を表わします。
- 同一のチャンネル内で一つのステップリレーのみがオンになっています。
つまりあるステップリレーが最後にオンになれば、他の同一チャンネル内のリレーは自動的にオフになります。 - チャンネルが違うステップリレーは同時にオンが可能です。
このことはチャンネルを替えれば、各々のチャンネルで個別のステップ動作による並列動作が可能になることを意味しています(図K参照)。
図K
このステップリレーを使用すると、工程が明確にステップ番号でわかるようになります。
補助リレーの自己保持を基本にした前頁で説明した方法では、どうしても同じMが頭につくリレーを使用していくため例えば、従来の方法による下図のような簡単な回路が
シーケンスを進めるための回路を構成しているのか、単なる内部条件で自己保持回路を形成しているのか判断しにくい場面も多くありまし、また、回路が自己保持回路なのか単純なLD、OR、ANDからなる自己保持しない回路なのか良く見ないと判断がつかないことも少なくありません。
(もちろん、実力に自信のある人は前節の自己保持回路による方法で充分です)。
その点、ステップリレーによる方法によれば、工程の進みとJが頭につくステップリレーの番号を常に対応させて考えることができます。
◎ステップリレーによる工程進行の基本
前頁の図Aの回路をステップリレーを使用すると図Lのようになります。
図L
図Lの最上段の回路は、立ち上がり時にステップリレーの値をJ000に設定するためのものです。J000によるステップから始まって最後にJ003によるステップに行き、またJ000に戻ります。そのために立ち上がり時のJ000リレーのオンは是非必要です。
この回路ではステップリレーはその担当するステップがオンの間だけオンで、その間、他の同一チャンネルのステップリレーは自動的にオフになります。
下段の6行目から始まる、出力回路では、図1の回路とは違って、その出力が必要なステップを担当するステップリレーのオア回路により出力することになりますが、ここではJ001からJ002という意味でORの替わりにJ0001-02という表記ができるようになっています。
加工については図Aと同じでステップ2でのみ出力するので、J2のみによる出力になります。
この方法のバリエーションの例としては次のような方法が考えられます。
先ず前述したような異なったチャンネルによる並列動作は図Mのように考えられます。
例 位置移動 上部バリ取り 冷却 下部塗装
(J1チャンネル) (J2チャンネル) (J3チャンネル) (J4チャンネル)
これからこのステップリレーによる方法で具体的な各種のシーケンス回路を作っていきたいと思います。
◎ 信号機回路
これは普通の道路(十字路ではない)で押し釦を押して渡る信号です。
押し釦を押さなければ、ある一定の時間が経過したあと歩行者用信号は青になります。
押し釦はこの時間を早めるためのものです。
車道側が赤に転換中は押し釦を押しても無視されます。押し釦が意味を持つのは車道側が緑の時だけです(図M)。
図M
ステップリレーによる方法ではまず、動作の工程別の順序を整理して設計にかかります。
それを表にまとめたものが以下の表1で、これを状態遷移表と呼びます。
ステップ | 車道側 | 歩道側 | 遷移条件他 | 次ステップ |
0 | 青 | 赤 | タイマ0か押釦 | 1 |
1 | 青 | 赤 | タイマ1 | 2 |
2 | 黄 | 赤 | タイマ2 | 3 |
3 | 赤 | 赤 | タイマ3 | 4 |
4 | 赤 | 青 | タイマ4 | 5 |
5 | 赤 | 青の点滅 | タイマ5 | 6 |
6 | 赤 | 赤 | タイマ6 | 0 |
表1
この表の車道側の信号と歩道側の信号の色の変化を順序を追って見ると、私達が日常見なれている信号の色の変化であることが解ります。そしてその色の変化は原則として、すべてタイマによっていますが、例外としてステップ0から1への変化を押し釦でもできるようにしています。これも普通に良くみる歩道側で青を催促するためにある押し釦です。
ステップ6からステップ0へ遷移しますが、最下段で車道と歩道がともに赤になってタイマ6によって、最上段のステップ0に遷移します。
この遷移表による回路は、図Nようになります(ダウンロードしたS版のなかの\SAMPLEフォルダ中にあるので、それを「連枝」(れんり)の画面への展開よって参照することもできます)。
図N
この回路は、表2のステップ遷移表に従ってステップを進ませています。15~16行目で2行目のJ100にステップを戻しています。
最後の20行目以降でステップごとの実際の出力(信号の青、黄、赤)をまとめています。J105は青の点滅部分なので、図82の上部フリッカ回路を17、18行目に使用してリレーのM1をフリッカさせています。
27行目で青表示のJ104とM1のアンドをとって、歩行者用の青信号の出力にしています。
この回路によると、各ステップの推移がどのような条件により推移していくか、どのステップでYリレーによって出力するかが分かりやすく、表記されている事が理解できると思います。
動作事象がどのように展開していくかを解りやすいように書けば、OUTはその正直な結果として明確に把握することが可能になります。
20行目以降のY8?が出力ピンを表わしています。入力は4行目のX00の押し釦だけです。
(展示会用に作成したものが、ユーザーコーナーにもある上の写真です)。
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