岩井君のシーケンス教室ー1

◎シーケンス回路設計の基本
シーケンス回路を実際のリレーとタイマ、カウンタを使用し、それらをドライバーやニッパーを使って接続していたころは、回路上でリレーが一個増えるたびに数千円の価格アップになり、そのために少しでもリレー数の少ない回路を組むことがシーケンスの設計技術者の腕とされていました。そのために部分的には現在でも転用し得る単純で面白い回路が多く出来たのですが、一方で全体的に見ると理解困難な回路もたくさん生み出されました。
しかし、シーケンサを使用することになって、リレーとそのリレーに付属する接点を殆ど無制限に使用できるようになり、工程に従った解りやすい回路にすることが、リレー数を少なくすることに比較してずっと優先することができるようになりました。
シーケンサ誕生以前の初期の頃から考えられ、回路構成の基本になるのではないかと考えられていたものが、多少リレーを多く使用する欠点を乗り越えて、そのまま使用できるようになってきたわけです。
それは次のような考え方によります(下図Aを参照して下さい)

図A

上図の回路を見ると、最上段の起動条件の接点(原点リミットSW等による)がオンの時X00の起動釦をオンさせるとM1が自己保持し、まずシーケンス・ステップ-1の回路のオン条件が整います。
例えば、M1のオンがシリンダの前進開始を意味し、前進端で近接センサがX01がオンします。それまでがシーケンス・ステップは1です。これによって例えば品物が送り出されます。
M2による工程のシーケンス・ステップ2は例えば加工終了のセンサのX02がオンするまで続きます。例えばバルブ開によるや塗料の塗布やモータ回転による穴あけの品物加工が考えられます。
それがすんだことをX02で確認するとM3がオンしシーケンス・ステップ3に入ります。例えばこのステップではシリンダはオフし、それによってシリンダーは後退します。
シリンダの後退を近接センサのX03で確認するとM4がオンし、それによって最上段のM1の自己保持が解除してオフし、次々とM4までオフし、最初の状態にもどります。
再び起動条件を待って、起動釦のX00をオンすると再びシーケンス・ステップの1の工程に入ります。

出力については、別にさらに図1の回路下段で構成し、例えばシリンダはシーケンス・ステップ1と2の間オンなので、M3のNOTとM1のアンド回路によってシリンダ用の出力リレーをオンします。
品物加工についての出力はM2でだけオンするので、M2のみによって品物加工の出力リレーをオンするように回路を構成します。
その場合の回路例を下図Bに示します。


図B

ステップの移行には、例に示すようなリミットSWの変化でなく、その工程の出力リレーと並列に接続されたタイマのオンによることもできます。

基本回路が図Aになるわけですが、この方法によればステップが進んでいく様子が、回路を見るだけで簡単に理解できるのが何よりの長所になります。

関連事項
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